【連載記事】ソーシャルメディアにシェアされるレシピ記事コンテンツの紹介と近年のレシピサイトにおける課題。
こんにちは。谷川シンイチロウです。
今回は連載しているレシピ記事の紹介、SNSにシェアされるレシピ、クライアントよりいただく質問に関する回答例をご紹介したいと思います。
料理のレシピは、スーパーマーケットや産直市場でも置いていますし、食品メーカーの公式サイトでレシピを公開していますし、販売店が発行しているフリーペーパー、アプリサイトなど、色んなシーンで見つけることができます。
有名なものですと、1963年から続く料理番組「キユーピー3分クッキング」がありますね。
他にも各種食品メーカーのレシピサイトがあります。
お酢はもちろん、色んなジャンルのレシピがありますね。
牛乳だけではなく、乳製品に関するレシピが載っています。
普段使い出来そうなレシピがたくさん載っています。
こちらも同じく醤油メーカー。醤油は色んな料理に使うことができますね。
食品メーカーの広報担当者の方や、ネット通販サイトの販促担当者の方であれば、レシピコンテンツによって新規ユーザーを獲得したり、購買につなげたり、そんなことを考えることが多いはずです。
さて、食品業界の関係者の方やメーカー向けにウェブコンテンツを提供されている担当者の方よりご相談いただくことが多いのは…
・どんなレシピコンテンツがいいのか?
・レシピ提供から、購買のアクションはどのように生まれるのか?
・ソーシャルメディアなどでシェアされるレシピはどのようなものか?
・最近、流行しているレシピ動画サイトなどをどう思われますか?
この辺りのことでしょうか。
一つ一つ、自分なりの回答をまとめていきたいと思います。
Q、どんなレシピコンテンツがいいのか?
これは扱う食品、食材を購入するターゲット層にもよりますので、まずはターゲットイメージの選定から始めることになります。
ここで重要なのは、ターゲットに関する考え方です。
例えば…
「自社商品の購買は40代の主婦層が多いので、40代の主婦層を狙いたい」
というクライアントサイドの意向があったとします。
ところが、このターゲットについて疑問に思うのですが、ターゲットの選定は果たして合っているのかどうか、ということです。
20代の女性、30代の女性、40代の女性、50代の女性、世代によって食事の志向は変わりますし、料理の自炊レベルも異なります。
20代の女性=あまり料理をしないという場合もあれば、これから婚活のために料理を一生懸命やっていこうという方もいらっしゃいます。
実際、15年以上、料理教室を運営してきましたが、料理教室の受講費は一律で、他の教室と比べるとかなり高額でした。
某有名クッキングスクールで受講され、料理を学んだにもかかわらず、さらに腕を磨こうとされる20代、30代の方がいらっしゃいました。
反対に何年も通われている50代の方が、なかなか料理が上達しないということもありました。
料理教室を運営する中で感じたのは、リアルな当事者意識です。
料理を作る=子育てママという限定的なものではなく、一般論ではカテゴライズできない料理をしている層というのは多くいらっしゃいます。
ターゲットを選定する、ターゲットを絞り込む、そんなプロセスにおいて、そもそも実在するターゲット層を具体的にイメージできるかどうか、これが重要だと感じます。
スタジオのメンバーたちが、日ごろから心がけているのは、リアルなユーザー目線です。
そんなことを意識しながら、コンテンツを作ることを考えています。
Q、レシピ提供から、購買のアクションはどのように生まれるのか?
レシピコンテンツをみて、そのまま商品を購入するという形式をご想像されると思いますが、マス広告は通用しない時代において、この考え方は一度捨てたほうがいいのかもしれません。
広告会社に勤務していたこともあり、ここでは広告業界で知られている広告理論を交えて解説していきます。
その昔、AIDMA(アイドマ)と呼ばれる広告理論がありました。
●アイドマとは?
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
D…欲求(Desire)
M…記憶(Memory)
A…行動(Action)
これらの頭文字をとった考え方です。
つまり、マス広告では商品の注意喚起を呼びかけ、興味を持っていただき、ほしい!と思わせ、記憶させ、行動してもらうというものです。
レシピというコンテンツで呼びかけ、興味を持っていただき、この商品を使ってみたいなぁと思っていただき、商品のことを覚え、買っていただく。
これが従来の広告モデルだと言えるでしょう。
それから時代がかわり、AISAS(アイサス)が生まれました。
●アイサスとは?
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
S…検索(Search)
A…行動(Action)
S…共有(Share)
アイサスの場合、商品を購入する前、商品を購入した後での行動が変化します。
商品を購入する前、消費者はパソコンやスマートフォンでサーチし、購入後、その商品がよければ、ソーシャルメディアで共有するというものです。
Q、ソーシャルメディアなどでシェアされるレシピはどのようなものか?
ソーシャルメディアの共有や拡散において欠かせない概念があります。
2011年、電通コミュニケーションデザインセンターの社内ユニットが提唱した購買行動モデルがあります。
それがSIPS(シップス)です。
S…共感する(Sympathize)
I…確認する(Identify)
P…参加する(Participate)
S…共有 & 拡散する(Share & Spread)
これはテレビCMなどのマス広告ではなく、YouTubeやFacebookなどのソーシャルメディアの登場により、ソーシャルメディアに投稿されたコンテンツに共感し、いいね!やお気に入り!を行い、その後にユーザーたちがソーシャルメディアで拡散するということです。
これは近年、台頭してきたレシピ動画にも言えるでしょう。
魅力的なレシピ動画を発見し、内容を確認し、コメントなどで参加したり、作ってみたり、その後、さらにソーシャルメディアで拡散されるというイメージです。
では、ソーシャルメディアで拡散されるコンテンツとは、どのようなものなのでしょうか。
まず、拡散されるためには、共感いただくことが必要になります。
ここでの共感とは、「自分にもできそう」「家でも作れそう」「手軽に食材が入手できそう」というレベルもあれば、「こんな料理に憧れる」「これからこんな料理を作れるようになりたい」という次元もあると言えます。
共感する次元によって、商品の購買につながっていくことになるでしょう。
レシピ制作専門スタジオの場合、所属している料理研究家はプロです。
そのため、提供するレシピの多くは本格的なものが多くなります。
レシピ=そのまま購入する
これだけが正解だけではなく、上質なライフスタイルの提案、他社商品との差別化、ブランディングの形成をゴールイメージとしています。
今の時代、商品のPRが直接、マス広告でリーチする場合もありますし、SNSによって共感、拡散され、購買されていくというケースもあると言えるでしょう。
SNSの場合、共感するのは、あくまでユーザーです。
これもまた、ターゲットの選定がかなり重要だと言えるでしょう。
拡散されるレシピは、簡単にできるシンプルなものもありますが、見た目の彩りであったり、憧れるような演出であったり、様々です。
インターネットやソーシャルメディアに関しても、世代によって認識はかなり違います。
ネットやスマホ時代と言われていますが、日本人全体を考えれば、インターネットの契約数などを考えると、思っているよりもネット世代が多いわけではありません。
都会ではスマートフォンやネット検索が常識ですが、地方ではマス広告やご当地メディアの影響は多いです。
そのため、地方のスーパーマーケットで販促するのであれば、都会向けのアプリやSNSでレシピ動画を流すのではなく、リアルな店舗でプッシュ型広告、デジタルサイネージ、設置型フリーペーパー、掲示ポスター、実演販売の方が効いてくるでしょう。
また、どうしても主婦=時短=手抜き=簡単というイメージが根強いですが、それだけにこだわる必要はないと思いますし、簡単に作れるものだけが共感のすべてではないと認識する必要があると感じます。
●近年のレシピの傾向について
続いて、近年のレシピ動画サイトや料理動画サイトで感じることを。
レシピ動画サイトなどのレシピを拝見することもありますが、残念なことに、普段、あまり料理をされていないのでは?と思うレシピが乱立している現状を感じることがあります。
なぜ、料理をしていない!とバレるのでしょうか。
例えば、多いのは肉や魚の下処理、包丁の扱い方、調味料の入れすぎです。
肉や魚の下処理は、基本的にスーパーなどで食材を調達することを考えると、問題がないように思えます。
しかし、料理のプロからみれば、その差は歴然です。
肉の切り方は、料理によって異なりますし、ただ単に切るのであれば、だれでもできてしまいます。
筋切りをしなければ、味がしみこまないことがありますし、部位によって取り除いておく箇所がありますし、余計な脂肪や皮などを切り取る必要があります。
そして、魚もかなり難しい食材の一つです。
肉や魚の扱い方を習得するのは、かなりの時間と経験が必要なのです。
次に調味料の入れすぎに関してですが、例えば、複数の調味料を入れるとします。
たまにあるのは、醤油、塩、砂糖、味醂を加える場合です。
ここで疑問に思うのですが、味醂で甘みを足すわけですが、味醂を入れたほうがいい料理もあれば、別段、必要がないのでは?という料理もあります。
甘すぎる料理は糖分が多くなってしまいます。
また、塩を先に入れてしまい、再び醤油を入れてしまうケースもあります。
一度味をみてから、足りなければ、塩で調味するほうが健康にはいいのです。
どうしても若い人を意識するのか、カロリーが高すぎるレシピが多いのも感じます。
栄養バランスがあまりにも悪いレシピが多いのは、長期的に考えてよくありません。
動画サイトで、献立を考える場合をみてみましょう。
1日目、ハイカロリーな肉料理
2日目、チーズたっぷりのアレンジ料理
3日目、砂糖たっぷりのもりもりスイーツ
こんな生活を続けてしまうと、確実に生活習慣病、高血圧や動脈硬化、腎臓病、尿路結石、骨粗鬆症を招くことがあるでしょう。
若い人がチーズが好きなのはいいですが、どれもこれもチーズばかりだと栄養が偏ります。
それに同じような味付け、同じようなテイストばかりの食事だと舌が鈍ります。
塩分が多すぎる料理もよくありません。
厚生労働省が定めている1日当たりの塩分摂取量の目標値も変化しました。
高血圧予防の観点から2015年度栄養摂取基準では、男性では9.0g未満から8.0g未満へ、女性では7.5g未満から7.0g未満へ変更となったのです。
調味料の目安として
食塩(小さじ1):5g~
濃い口醤油(大さじ1):2g~
薄口醤油(大さじ1):3g~
トマトケチャップ(大さじ1):0.5g~
つまり、7gの食塩量にする場合、かなりの注意が必要です。
この塩分量の変化を意識しているのでしょうか。
そこで、料理教室では徹底した減塩などを推奨しています。
このような食に関する知識を現代の教育で提供するのは、かなり難しいと思います。
学校の教科書で、塩分をとり過ぎないようにと教えることはないでしょうし、学校で配布されるプリントなどで、そんな情報が得られる程度ではないでしょうか。
そんな中、塩分や糖質、脂肪の多すぎる料理情報を入手し、そのまま作ってしまうと、いつか健康面での課題が生じてしまうのではないかと思うのです。
若者に受ける=ハイカロリー・チーズたっぷり・濃い目の味付け
この固定概念には警鐘を鳴らさざるおえません。
サービスが加速すると、人手不足になるのは仕方がありません。
ですが、料理はやはり、専門分野です。
簡単に取得できるフード系の資格=料理ができるわけではありません。
私たちの料理教室には大手料理教室の経験者、フード系資格取得者、栄養士取得者の受講生もいらっしゃいました。
「料理教室で学んだけど、料理がうまくならない」
「資格を取ったけど、仕事にも料理にもつながらない」
そんな声があったことを思います。
日々、新たなコンテンツを生み出すというのは労力がいります。
そのために多くの人材が必要なのも理解できます。
しかし、やはり、ユーザーのためにも、正しい調理方法、正しい食の知識をベースとしたレシピコンテンツであってほしいと感じます。
さて、最後に私たちレシピ制作専門スタジオのコンテンツで、シェアされたレシピ記事をご紹介したいと思います。
以下の事例は「お魚レシピ.com」に掲載されたレシピになります。
■「お魚レシピ.com」とは?
フードスタイリストのお魚レシピを中心に、こだわりレシピを発信!
旬のお魚のレシピや、お役立ちお弁当レシピ、お魚や貝のさばき方、調理方法など。福井県越前・若狭のさかな屋さん「ますよね」がお料理好きの主婦にお届けする献立応援サイトです。
福井県の名物である「へしこ」を使ったアレンジレシピです。
へしこの塩分が多いので、ジャガイモを加えました。
シジミを加えているのは、へしこがお酒との相性がいいこともあり、お酒を飲むシーンも考えているからです。
シジミには、肝臓の働きを助ける効能がある栄養オルニチン、肝臓の細胞の再生を助けるタウリン、肝機能を高めると言われるビタミンB1、ビタミンB2などの栄養素が含まれています。
そもそも若い人だけをターゲットにするのであれば、へしこを知らないという若い人もいますから、成立しないように思えてしまいます。
ところが、へしこのレシピは多くの方にシェアされました。
若い読者の方からも
「へしこのことを初めて知れてよかった」
「美味しそうで、いつか作れるようになりたい」
という反応がありました。
おもてなしの海鮮そうめんは、簡単・お手軽・時短という概念とは、まるで違います。
そうめん=夏の定番=主婦の味方=誰でも作れる=すぐできる
という固定概念があるのではないでしょうか?
この海鮮そうめんは、そんな固定概念では説明できません。
そうめんのイメージを覆し、今までに見たことのないスタイリングにしました。
そうめんの上には、ウニ、エビ、いくら、海の宝石たちをトッピング。
そして、暑い夏、どうしても食生活が乱れがちですし、そうめんだけでは栄養が偏ります。
冷やし中華にもいえますが、冷やし中華に加えて、錦糸卵やハム、キュウリなどのトッピングがあるのは、栄養バランスを考えた上でのことなのです。
海鮮素材だけではなく、大葉やオクラ、キュウリやトマトなどの野菜も加えることで、栄養バランスも考えています。
特に旬の野菜を用いることで、栄養素だけではく、効用も期待できるのです。
旬の野菜を食べることが、なぜ、身体にいいのか。
このことは、料理教室の講義で説明しているのですが、医食同源なのです。
食べるということは、身体を医学的に整る行為でもあります。
暑い土地で親しまれる食材は、身体を冷やす効果があります。
トマトやキュウリなど夏の野菜は、熱くなった身体を冷やす効果があります。
汗をかくことで、栄養素が奪われてしまいます。
汗の成分は99%が水ですが、残りの1%にミネラルが含まれています。
マグネシウム、亜鉛、鉄といったミネラルが失われるので、ここでトッピングの牡蠣がいきてくるわけです。
レシピを作るうえで、食に関する広汎にわたる知識が必要だと考えています。
レシピ制作専門スタジオでは、料理研究家、写真家、コピーライター、映像ディレクター、プランナー、色んなジャンルが所属するチーム構成になっています。
これからも健康で上質な食を通したライフスタイルが提案できるようなクリエイションを目指していきたいと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
●お問合せについて
「谷川シンイチロウ」にお仕事のご相談、グルメや食関係の執筆、料理動画のご依頼などございましたら、お気軽に「 recipeibusuki@gmail.com」までお願い致します。
▼ご相談事例
●事例A
「自社商品をウェブサイトやインターネットショッピングサイトに出店して販売しており、商品の認知度をあげるために商品を使ったオリジナルレシピを考案し、販促につなげていきたい」
●事例B
「スーパーマーケットで、来店客向けに旬の食材や新商品、自社開発商品を使ったレシピを考案し、店頭で配布したり、接客時に使用したり、スマホアプリで配信することで、来店促進や販売促進、顧客とのコミュニケーションに活用したい」
●事例C
「東京などの都心はもちろん、若い方に人気のあるレシピ動画を配信したいので、委託で料理動画の制作を依頼したい。ただ、自社が郊外(もしくは地方)にあるため、インターネットやメールなどの遠隔での連絡をしながら進めていきたい」
●事例D
「飲食店を新規出店するにあたり、店舗設計や店舗名のネーミング、メニュー構成や価格調整、インターネットを活用した来店プロモーションや宣伝活動を行っていきたい」
●事例E
「自社にメニュー開発や料理動画制作の部署を立ち上げるため、監修いただくため、
顧問契約やエージェント契約をお願いしたい」
0コメント